有楽町の焼き鳥屋

映画を見た帰りに、有楽町のガード下を通りかかった。昔のままの店構えの焼き鳥屋が並んでいる。どの店も店先で焼き鳥を焼いていて、その匂いがあたりに漂っている。その匂いと炭火の煙に惹かれてその中の一軒に入った。店は混んでいたので、先客と相席になった。若い男の店員が注文を取りに来たので、とりあえず生ビールと二人分の焼き鳥を頼んだ。店員は大きな声で注文を復唱した。枝豆や焼き鳥をつまみにビールを飲みながら、娘と先ほど見た映画について感想を述べあったり、共通の知人について話したりした。壁に目をやると、セピア色の写真が額に入れられ飾られている。店の創業当時の写真である。この店はそんなに古くからあったのかと、ちょっと感慨にふけった。


私はこんな焼鳥屋が好きである。昔の日本映画のワンシーンにはまりこんだような雰囲気がある。うす暗い照明、壁に貼られたお品書き、所狭しと並んだテーブル。その狭い隙間を店員がせわしなく注文を取ったり、ビールや焼き鳥を運ぶ。客は来た順に知らないもの同士隣り合わせに座らせられる。


どの客もリラックスしているように見えた。この界隈のオフィスレディーであろうか。一人で来ている若い女性を何人か見かけた。昔は焼鳥屋に女性が一人で入って、焼き鳥を食べ、お酒を飲むことはほとんどなかった。だから会社の同僚や上司が誘ってくれると、喜んで付いていったものだ。いまでは女性も男性並みに働く時代になったから、焼鳥屋で息抜きするのもいいかもしれないと、ほろ酔いの頭で考えた。

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